藻川亭河童の10000句への道   20070428
0001 万緑の精とたわむれ眠りをり          師匠追悼句
0002 鼻濁音甘く響けりさくらんぼ            師匠特選   
0003 遊蝶花風の匂ひを運びけり     
0004 臥龍梅支える母の膝枕
0005 ひたすらにただひたすらに通夜の雪       
  師匠特選
0006 母恋いや月を離れぬ冬の星
0007 枯蓮は痩せた教師のビオトープ          
師匠特選
0008 綿入や夜汽車の汽笛袖に入る
0009 秋日和仁丹の香とすれ違う
0010 聖職の模索の果てや鰯雲
0011 密々と心てふ実の袋掛け
0012 牛蛙鳴くな腕病む我なれば            
師匠特選
0013 雲の峰捨てし郷より公文書
0014 母の歳越えたる朝の新茶かな
0015 恍惚の風に這われて桜蘂
0016 マシュマロの吐息のごとき彼岸入り
0017 バレンタイン義理のむかひに哀しき灯
0018 春寒や妻の寝汗を拭きおりぬ
0019 雨水かな妻の背な押す茶碗坂
0020 間引き大根有難うと椀に入れ
0021 やさしさの眼で追わる浮かれ猫
0022 春嵐へのへのもへじ子らの面
0023 麗らかや畳のへりを踏んでみる
0024 春暁やお絵描き帳の結露拭く
0025 春陽射し黒目を写す川面かな
0026 葉桜の風透き通る肉桂飴
0027 桜蕊端に溜まりて離任式
0028 逝く春や句帳に兼題残されて             追悼句
0029 三七日のレールの錆びや時計草
0030 故郷の仏間に母の単衣かな
0031 くちなしの匂ひ拡がるみずぐるま
0032 夏蓬鉄路に声の残りいて
0033 惚れ直す妻の健啖冷やし汁
0034 梅雨靄の彼方に母の樹を探す
0035 あおあおと母は銀河のほとりかな
0036 梅雨の晴れ娘の白衣メロン色
0037 仕出屋の簀の子洗われ梅雨明ける
0038 あさがほのふらりと夜をただよえる
0039 羽の艶残りしままに蝉落ちる
0040 短調に変調したり蝉時雨
0041 鎮魂の杜を離れし秋暑し
0042 黒板に白墨一線九月尽
0043 教職を離れし月日野分聴く
0044 竜胆の蒼に染まりし指疼く
0045 髪切って十月の風透き通る
0046 青栗や夢喰う獏になりきって
0047 教会や胸にバッハの秋響き
0048 秋寂びぬ友竹林の風となり              追悼句
0049 欅紅葉の落日に佇ち無言
0050 新酒酌む昔野球少年なりし子と
0051 紅い靴一番線の冬陽かな
0052 賞与薄し青ペンに黒継ぎ足して
0053 木枯が膝を狙ひて襲い来る
0054 傷痕を隠す小雪の微音かな
0055 空耳の花いちもんめ犬ふぐり       
師匠特選
0056二ン月の波紋広げる小石かな
0057 ハンカチに雪片を受く通夜帰り
0058 メタセコイアの骨ばかりなる彼岸寒
0059 菜の花や回転木馬の母に逢う
0060 鶺鴒の声の蒼さや芹の水
0061 縁談のまとまる気配土筆和え
0062 分水嶺木霊を返す余寒かな
0063 蒲公英の方程式は解けぬまま
0064 花回廊給食袋走り来る
0065 すみれ摘む指の先から電子音
0066 花菜畑迷路は西へ続きおり
0067 憲法日サプリメントの媚薬めき
0068 遂道の闇一点の新樹光
0069 さくらんぼ舌技の妙は母ゆずり
0070 新緑の渦の向こうの慕情かな
0071 ドクダミや母の教えのわかるころ
0072 虹の橋母には勾配けはしけり
0073 パステルの虹の根っ子や智慧の光
0074 すききらいすききらいすき花鬼灯
0075 千代紙のがく剥がれ落つ濃紫陽花
0076 梅雨靄の樹叡の彼方に師は逝けり
0077 淵蒼き鮎釣り舟に主なし
0078 光る川悠久の夏至の存在者
0079 夏至といふ雀ちゅんちゅく白昼夢
0080
0081 手裏剣も柔になりをり鉄線花
0082 熊蝉や吾も明日は断末魔
0083 地べたさけ地獄のさたや冬の暁
0084 夢にさへ出てこぬ母のセージかな
0085 濁り無き心まかせや香雪蘭
0086 裾濡らし母も銀河のほとりなり
0087 ふるさとは葉桜透かしその向かふ
0088 萩の名の染み入る母の割烹着
0089 ふるさとの丘の十字架花の舞
0090 一節の唸り蒼きや冷奴
0091 釣忍きみがうなじの染まりけり
0092 十劫の天女の衣や釣忍
0093 くちなしの匂ひ拡がる水車小屋
0094 西日さす部屋に流るるかぐやひめ
0095 十六夜の我を諭せる母の声
0096 停車場の椅子に座りて鰯雲
0097 杉木立背筋冷たく著莪の花
0098 橘の花や薫子たれの妻
0099 お袋の手拭い丸め蛍籠
0100 インナーもハイジと替わりこどもの日
0201 嘘泣きの冷たき視線 郭公         
0202 郭公のワルツは定番パーカッション     
0203 郭公の演奏いつもカスタなり        
0218 かっこうはかっこうでぼくはぼくで天涯孤独  
0219 熱波の地震の台風の降灰の郭公の・・・ベクトルの夏時間    
0220 郭公やちょげさちょげさの物語  
0204 うりへちまかぼちゃにきゅうり汗の味
0205 瓜糸瓜南瓜に胡瓜汗の味
0206 春寒や妻の寝汗を拭きおりぬ        
0207 今宵また寝汗を拭きに灯を点す        
0208 訴えに決意新たな汗ぬぐひ         
0209 廃線の断崖絶壁脇の汗         
0210 汗臭き親爺に少し似てきたか                   
0211 ラジウムに汗疹浸して天瓜粉       
0212 薬湯に汗疹浸して包まれり       
0213 汗袗や肩台揺れし三面鏡 7
0214 ふるさとはとはに汗のなか       
0215 三伏の俄かに鮨酢増えにけり     
0216 三伏や藻川の河童刎ねにけり 
0217 三伏や彼岸の渡し禊ぎ祓ひ     
0221 三伏や壁に樹影の躍りたる     
0222 三伏や引火点下がる草野原      
0223 三伏や池田の湯葉を尋ねたり    
0224 三伏や地獄の森の岩清水       
0225 三伏に水神海へ還したまふ 
0226 三伏や水神海へ還したまふ   
0227 三伏や風邪には腹の征露丸      
0228 三伏の項の汗の艶かし        
0229 三伏の哀しき涙絞り出せ       
0230 三伏や佳人の焼きたるマフィン    
0231 哀しみは三伏のこふきいも
0232 哀しみは新馬鈴薯のこふきいも
0233 母ちゃんの産み月撫でて西瓜食む
0234 母ちゃんの腹を撫でつつ西瓜切る
0235 ふるさとは河の匂いや黄西瓜    
0236 西瓜畑寝ずの番にて酒宴かな
0237 西瓜見て必ず叩くおやじかな
0238 爆音や烏脅しの西瓜畑        
0239 前掛けで井戸まで運ぶ西瓜かな  
0240 喰いさしは母の手による西瓜漬け
0241 西瓜しか食えぬ時代の立ち話
0242 吾が胸の燃ゆる思いの西瓜切る
0243 飽食の御世に西瓜の極限値
0244 当てもんの極意を知って西瓜切る
0245 生臭き西瓜の何処に市民権
0246 西瓜斬るまでが命の講釈師
0247 刃先吸ひ袈裟に裂けたる西瓜かな
0248 鎮魂歌聞きて西瓜を撫でにけり   
0249 売りもんの西瓜はみんな人の口 
0250 少年の刷り込み西瓜鮎の味      
0251 たましひを込めた西瓜の重きかな
0252 ふるさとの河の匂ひや黄西瓜
0253 吾が胸の燃ゆる思ひや西瓜摘む      
0254 終戦日サプリメントの媚薬めき 
0255 終戦日星の融合無音なり      
0256 鎮魂の放鳥一発終戦日       
0257 勲章の斜めになりて終戦日     
0258 終戦日愚かな父へ近づく日    
0259 虚しきは誓いの薄れ終戦日
0260 ノリヲの眼まことかなしや終戦日
0261 へそ出しのゆく末哀し終戦日
0262 臍出しの乙女けせらや終戦日    
0263 大和男児セピアの父の終戦日 
0264 貰い乳乳母も逝きたる終戦日
0265 恐ろしき笑顔の裏や終戦日     
0266 額縁の裏書薄れ終戦日      
0267 乳飲子の還暦越へし終戦日
0268 終戦日昭和は遠くなりにけり
0269 開墾地母としとせり終戦日     
0270 淵蒼き河童の郷や終戦日    
0271 教会の鐘に染まりし秋蝉や
0272 東京の砂漠ざくざく秋蝉の落ち
0273 秋蝉の鳴きやみし時花割れり
0274 短調に変調したり秋の蝉 入選
0275 秋蝉や明日は吾の断末魔
0276 秋蝉やかしまし汝子をなせり
0277 秋蝉の消えし墨絵や杜の影
0278 北国の切り子に浮かぶ秋の蝉
0279 気の弱さ変へたしけふの秋蝉
0280 鎮魂の杜をはずれて秋の蝉
0281 秋蝉の飛び去りし樹は人肌
0282 秋蝉や沖の小島にわすれもの
0283 秋蝉の声紋模写に無音なり      
0284 鮨詰めの籠で喘ぐや秋の蝉    
0285 猿酒の浪漫の果てや酔ひて候   
0286 猿酒や因数分解解けぬまま    
0287 猿酒の洞を見つけし地獄山    
0288 猿酒の花咲山の祠かな      
0289 猿酒と思ひて燗の黒ぢょか    
0290 かにかくに郷の青嶺やましら酒      
0291 乙女らの孔雀の衣やましら酒     
0292 猿酒や風に吹かれて落ち零る       
0283 たましいの如く猿酒をゆすってみる  
0294 共存的他者と黙してましら酒   
0295 林間に猿酒温め紅葉を焚く      
0296 葉月の夜愚息にたつきの憂いあり  
0297 最後にはおまえと二人葉月潮    
0298 葉月海夜陰の太刀魚艶かし     
0299 またいつか二人にかへる葉月海   
0300 いつか来た道に戻りぬ葉月潮    
0101 恐ろしき胸の谷間やアッパッパ
0102 句作とはミロダリキリコあり地獄
0103 湯上りや二年の梅酒胸染めり
0104 姫著莪の深き木立の影の揺れ
0105 菖蒲の葉乳首擦りて湯を撥ねり
0106 切っ掛けを待つかの如く蝮酒
0107 骨きりの音しゃきしゃきと床涼み
0108 鞍馬出て川床に暫しの二人連れ
0109 青春の道問ひゐたる梅酒かな
0110 竹の子や詰襟首に馴染むころ
0111 投げ出した四本の足に西日かな
0112 夏の夜ミュールの客の気にかかり
0113 開墾や母としとせし茂りかな
0114 つる薔薇のみな空向きし二番咲き
0115 校庭の端にボールや梅雨の朝
0116 羽根の艶残りしままに蝉落ちる
0117 菖蒲の葉湯気に乳房の浮かびけり
0118 花林檎心てふ実の袋掛け
0119 女房の笑って虐むる暮の秋
0120 丑の日や伊予のリンダに接吻す
0121 さりげなく刻の過ぎゆき無月なる
0122 用水の溢るる音の茂りかな
0123 月涼し丈山吟ず友ありき
0124 うりへちまかぼちゃにきゅうり良き日哉
0125 朝涼や小径に女の匂ひ待つ
0126 孫去りて胸は虚ろに風の死す
0127 我が桃は乾燥中なり投げキッス
0128 明星に染まりて消えし蝉時雨
0129 蝉消えてなにやら強し杜の影
0130 木間暮に風笑ひたる生身霊
0131 万両の赤で割りたるロックかな
0132 朝飯や褞袍に垂るる乳房かな
0133 どんど火やするめに背なの曲線美
0134 抱き逢ふて厳寒溶かす欅かな
0135 「蹴りよった?」胎に耳当て抱く寒夜
0136 御節会の薬缶重たき女学生
0137 東雲や朱の色相なれ山冴ゆる
0138 誰が妻と神は納めり春着の娘
0139 同胞の誰かれ逝きし寒椿
0140 寒椿ほたりほたりの鉄路かな
0141 ハイボールの泡に音する寒の入り
0142 日向ぼこ影より逃げぬ意地っ張り
0143 ヘリ轟音地には震災鎮魂歌
0144 花ぬす人伊予のをんなの寒見舞
0145 成人や御髪に色香も零れけり
0146 皸やメンタム弾く鍋磨
0147 お〜いお茶!抑揚変えし寒の雨
0148 春の川泣いてもさらさらながれません  
0149 血を吸ひて枯れた根っ子や藤の房    
0150 夏めくや母の乳房の顔を出し     
0151 ハンカチに雪片を受く通夜帰り
0152 ハンケチの紅と色香を見逃さじ            
0153 ハンケチや気付きし時既に修羅場           
0154 鴉の子母の美声の不滅なり
0155 鴉の子母の美声の祇園かな                         
0156 鴉の子夢にも出て来ぬ母の顔             
0157 鴉の子守りし母は超ママゴン             
0158 湯上りや梅酒に胸染まる谷間かな 
0159 青春の道問ひゐたる梅酒かな   
0160ラジオより流るる選評梅酒注ぐ  
0161 アカシアの雨の向こふに闘士消ゆ    
0162 アカシヤの雨の向こふの闘士かな    
0163 ヒメダカに溺れし吾に母の腕      
0164 学校はもう死んだと目高言ふ      
0165 睨まれて凄まれてものいふ目高         
0166 やっちんの墓石洗ろふて草笛を     
0167 やっちんの墓洗ひて草笛を吹く     
0168 まあちゃんの草笛聴こゆ婆の耳     
0169 まあちゃんの草笛聴こゆ峠路      
0170 草笛やどかべんすみてからからと    
0171 師の通夜の丘に登りて草笛を      
0172 草笛やすききらいすききらいすき    
0173 草笛を教えしあの子いっちゃった    
0174 九十九折草笛吹いて一服す                    
0175 九十九折草笛木霊と響きをり                 
0176 水無月や鮎釣り舟に主なし       
0177 水無月や鮎釣り舟のカーバイト     
0178 水無月や畦の蝮の首刎ねり       
0179 水無月や鮎釣り舟に点灯す       
0180 水無月や靄の彼方へ師の逝けり     
0181 水無月の涙の雨の塩辛き        
0182 水無月やメタセコイヤの絞りたて    
0183 水無月や走ってはしって駅の道     
0184 句作とはミロダリキリコ蟻地獄    
0185 俳諧やミロダリキリコ蟻地獄
0186 蟻地獄明日は吾の断末魔    
0187 床下の10円見つけ蟻地獄      
0188 心象の叙情の御託や蟻地獄       
0189 節介は要らぬお世話と蟻地獄     
0190 雄殺蟻地獄此後休暇         
0191 冷麦の太さで叩く土砂降り      
0192 冷麦や中途半端な存在感        
0193 かあちゃんの冷麦ねぎばかり      
0194 冷麦や井戸の水神今はなく       
0195 冷麦を冷やして水神海へ逝く      
0196 冷麦の中途半端に存在感         
0197 郭公やきょうだい喧嘩に母の泣き
0198 郭公の父無き夕餉の無言かな
0199 郭公や母の教へのわかるころ
0200 郭公や胸に師匠の卒塔婆建つ      
0301 いつか来た道に戻りぬ葉月海    
0302 吾が翳の何れは消ゆる葉月宿    
0303 この恋も虚しく終へし葉月海    
0304 葉月かな竦みし足の滝の上     
0305 始業式妙に艶めく葉月かな    
0306 ひとなつの経験秘めて葉月かな   
0307 高瀬舟川瀬哀しき葉月かな     
0308 情焔を覚ます簾や葉月の夜     
0309 睦に弥生葉月にカンナ誰の妻    
0310 いちかけてにかけてさんかけ敬老日     
0311 菩提樹の翳に寄り添ふ敬老の日       
0312 師の逝きてまこと寂しき敬老日       
0313 病棟の母にも届け敬老日          
0314 薄味に怒り塩もて敬老日         
0315 母背負ふ文左もいまや敬老日       
0316 敬老の日切干は枯れ行くのみ        
0317 敬老の日の立杭焼の黒光り         
0318 玄孫まで系図を埋めし敬老日        
0319 英文の電信来てをり敬老日         
0320 玄孫まで系図を埋めて敬老日        
0321 またけふも赤子にかへる敬老日       
0322 敬老日藻川の流れとうとうと        
0323 善哉の餅を減らして敬老日         
0324 象亀は二百歳なり敬老日         
0325 亡き母の翳は青嶺や敬老日         
0326 饅頭を二個買ひたり敬老日         
0327 佳人ほど糸瓜の水で事足れり     
0328 佳人ほど糸瓜の水の薄化粧      
0329 麗人の醸す色香や糸瓜水      
0330 糸瓜棚床几に群がる王手飛車      
0331 糸瓜棚群がる縁台将棋かな      
0332 姥桜垂れたる糸瓜の哀しけり      
0333 垂乳根の糸瓜の夜のなまめかし     
0334 夢にまで出て来ぬ母の糸瓜かな     
0335 ながながし予約済みなり糸瓜棚     
0336 糸瓜忌やはないちもんめの唄匂ふ    
0337 とうちゃんの背中に余る糸瓜かな    
0338 ばあちゃんの糸瓜の水はもう来ない  
0339 諸手では届かぬ島の糸瓜かな      
0340 糸瓜垂れ青瓢箪の受験生        
0341 馬追や寝間の中から運動会      
0342 馬追や寝間の中にも原野かな      
0343 馬追や赤い蹴出しの見え隠れ     
0344 馬追や母の涙を捨てにゆく       
0345 藍蚊帳の涎の跡やスイッチョ鳴く    
0346 馬追の天井這ひし四畳半        
0347 停車場の古椅子端にスイッチョ鳴く   
0348 停車場の椅子に座りてスイッチョかな  
0349 スイッチョの髭の震えや蚊帳の中   
0350 馬追のこへを後ろに母を追ふ      
0351 馬追のうしろ母追ふ泣く子かな     
0352 馬追の後から母追ふ泣き虫つ子     
0353 馬追や穴より漏るる朝陽かな      
0354 馬追や乳飲む乙子の妬みかな      
0355 ふるさとの馬追鳴ける無人駅      
0356 ふるさとの馬追鳴ける橋の下      
0357 馬追の鳴音響ける畦に佇つ       
0358 水棹さす雲の果てまで水澄めり    
0359 水棹さす村の渡しや水の秋      
0360 水澄めり鞍馬の杉の神々や      
0361 水澄むや師匠の遺作に蒼い翳     
0362 水澄むや大の字で観る北斎画     
0363 秋水や丈山吟ず友ありき       
0364 水澄むや葉陰の円の揺れ動き     
0365 秋水や刃の翳で切る波紋       
0366 水澄むや櫨蘭咲くを見逃さず     
0367 水澄むや寝釈迦の乳房映えにけり   
0368 水澄めり朱印の後の一休み      
0369 秋水の心の襞の止揚かな       
0370 教会や胸にバッハの秋響き
0371 碑や欅紅葉のトトロなり
0372 刻停まり欅燃えだす無人駅
0373 我もまた気の狂れたくなりし冬の暮
0374 気の狂れし漢の金柑吾も欲し
0375 菰を捲く夫婦の顔の皺に艶
0376 若てふ字間違ふことなく暮れ早し
0377 寄り添ふて星の流るる冬の暁
0378 母上の愛は知らむとななかまど
0379 不可思議や秋の終わりの煮込みかな
0380 不易糊舐めたき衝動青蜜柑        
0381 不得手なるものありうれし二人鍋  
0382 不縁にて離れし母のななかまど  
0383 不可不可と蔦の黄落学生街
0384 蒼天に虎の泣き出す隙間風
0385 刻停まり欅燃えだす無人駅
0386 秋雨や沁み込み痕の切り通し
0387 暖かき風をポッケに冬に入り
0388 東より季節外れて風来たる  
0389 寄り添へば星の流るる冬の暁
0390 若てふ字間違ふことなく暮れ早し  
0391 若いてふ字間違ふことなき祭りかな 
0392 十月の竹林に蒼き祭り笛
0393 丈山を吟じし友の祭りなり
0394 逝く秋や朋竹林の風となり
0395 竹林の風の向こふに鱗雲
0396 洛北の紅葉を羽織り旅人たり   
0397 身に沁むやバッハの音色蒼き風     
0398 行く秋や黒き瞳に神存ます
0399 手は腰に左右に交差星月夜 
0400 青栗や夢食う獏になりきって


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