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0001 万緑の精とたわむれ眠りをり 師匠追悼句
0002 鼻濁音甘く響けりさくらんぼ 師匠特選 0003 遊蝶花風の匂ひを運びけり 0004 臥龍梅支える母の膝枕 0005 ひたすらにただひたすらに通夜の雪 師匠特選 0006 母恋いや月を離れぬ冬の星 0007 枯蓮は痩せた教師のビオトープ 師匠特選 0008 綿入や夜汽車の汽笛袖に入る 0009 秋日和仁丹の香とすれ違う 0010 聖職の模索の果てや鰯雲 0011 密々と心てふ実の袋掛け 0012 牛蛙鳴くな腕病む我なれば 師匠特選 0013 雲の峰捨てし郷より公文書 0014 母の歳越えたる朝の新茶かな 0015 恍惚の風に這われて桜蘂 0016 マシュマロの吐息のごとき彼岸入り 0017 バレンタイン義理のむかひに哀しき灯 0018 春寒や妻の寝汗を拭きおりぬ 0019 雨水かな妻の背な押す茶碗坂 0020 間引き大根有難うと椀に入れ 0021 やさしさの眼で追わる浮かれ猫 0022 春嵐へのへのもへじ子らの面 0023 麗らかや畳のへりを踏んでみる 0024 春暁やお絵描き帳の結露拭く 0025 春陽射し黒目を写す川面かな 0026 葉桜の風透き通る肉桂飴 0027 桜蕊端に溜まりて離任式 0028 逝く春や句帳に兼題残されて 追悼句 0029 三七日のレールの錆びや時計草 0030 故郷の仏間に母の単衣かな 0031 くちなしの匂ひ拡がるみずぐるま 0032 夏蓬鉄路に声の残りいて 0033 惚れ直す妻の健啖冷やし汁 0034 梅雨靄の彼方に母の樹を探す 0035 あおあおと母は銀河のほとりかな 0036 梅雨の晴れ娘の白衣メロン色 0037 仕出屋の簀の子洗われ梅雨明ける 0038 あさがほのふらりと夜をただよえる 0039 羽の艶残りしままに蝉落ちる 0040 短調に変調したり蝉時雨 0041 鎮魂の杜を離れし秋暑し 0042 黒板に白墨一線九月尽 0043 教職を離れし月日野分聴く 0044 竜胆の蒼に染まりし指疼く 0045 髪切って十月の風透き通る 0046 青栗や夢喰う獏になりきって 0047 教会や胸にバッハの秋響き 0048 秋寂びぬ友竹林の風となり 追悼句 0049 欅紅葉の落日に佇ち無言 0050 新酒酌む昔野球少年なりし子と 0051 紅い靴一番線の冬陽かな 0052 賞与薄し青ペンに黒継ぎ足して 0053 木枯が膝を狙ひて襲い来る 0054 傷痕を隠す小雪の微音かな 0055 空耳の花いちもんめ犬ふぐり 師匠特選 0056二ン月の波紋広げる小石かな 0057 ハンカチに雪片を受く通夜帰り 0058 メタセコイアの骨ばかりなる彼岸寒 0059 菜の花や回転木馬の母に逢う 0060 鶺鴒の声の蒼さや芹の水 0061 縁談のまとまる気配土筆和え 0062 分水嶺木霊を返す余寒かな 0063 蒲公英の方程式は解けぬまま 0064 花回廊給食袋走り来る 0065 すみれ摘む指の先から電子音 0066 花菜畑迷路は西へ続きおり 0067 憲法日サプリメントの媚薬めき 0068 遂道の闇一点の新樹光 0069 さくらんぼ舌技の妙は母ゆずり 0070 新緑の渦の向こうの慕情かな 0071 ドクダミや母の教えのわかるころ 0072 虹の橋母には勾配けはしけり 0073 パステルの虹の根っ子や智慧の光 0074 すききらいすききらいすき花鬼灯 0075 千代紙のがく剥がれ落つ濃紫陽花 0076 梅雨靄の樹叡の彼方に師は逝けり 0077 淵蒼き鮎釣り舟に主なし 0078 光る川悠久の夏至の存在者 0079 夏至といふ雀ちゅんちゅく白昼夢 0080 0081 手裏剣も柔になりをり鉄線花 0082 熊蝉や吾も明日は断末魔 0083 地べたさけ地獄のさたや冬の暁 0084 夢にさへ出てこぬ母のセージかな 0085 濁り無き心まかせや香雪蘭 0086 裾濡らし母も銀河のほとりなり 0087 ふるさとは葉桜透かしその向かふ 0088 萩の名の染み入る母の割烹着 0089 ふるさとの丘の十字架花の舞 0090 一節の唸り蒼きや冷奴 0091 釣忍きみがうなじの染まりけり 0092 十劫の天女の衣や釣忍 0093 くちなしの匂ひ拡がる水車小屋 0094 西日さす部屋に流るるかぐやひめ 0095 十六夜の我を諭せる母の声 0096 停車場の椅子に座りて鰯雲 0097 杉木立背筋冷たく著莪の花 0098 橘の花や薫子たれの妻 0099 お袋の手拭い丸め蛍籠 0100 インナーもハイジと替わりこどもの日 |
0201 嘘泣きの冷たき視線 郭公 0202 郭公のワルツは定番パーカッション 0203 郭公の演奏いつもカスタなり 0218 かっこうはかっこうでぼくはぼくで天涯孤独 0219 熱波の地震の台風の降灰の郭公の・・・ベクトルの夏時間 0220 郭公やちょげさちょげさの物語 0204 うりへちまかぼちゃにきゅうり汗の味 0205 瓜糸瓜南瓜に胡瓜汗の味 0206 春寒や妻の寝汗を拭きおりぬ 0207 今宵また寝汗を拭きに灯を点す 0208 訴えに決意新たな汗ぬぐひ 0209 廃線の断崖絶壁脇の汗 0210 汗臭き親爺に少し似てきたか 0211 ラジウムに汗疹浸して天瓜粉 0212 薬湯に汗疹浸して包まれり 0213 汗袗や肩台揺れし三面鏡 7 0214 ふるさとはとはに汗のなか 0215 三伏の俄かに鮨酢増えにけり 0216 三伏や藻川の河童刎ねにけり 0217 三伏や彼岸の渡し禊ぎ祓ひ 0221 三伏や壁に樹影の躍りたる 0222 三伏や引火点下がる草野原 0223 三伏や池田の湯葉を尋ねたり 0224 三伏や地獄の森の岩清水 0225 三伏に水神海へ還したまふ 0226 三伏や水神海へ還したまふ 0227 三伏や風邪には腹の征露丸 0228 三伏の項の汗の艶かし 0229 三伏の哀しき涙絞り出せ 0230 三伏や佳人の焼きたるマフィン 0231 哀しみは三伏のこふきいも 0232 哀しみは新馬鈴薯のこふきいも 0233 母ちゃんの産み月撫でて西瓜食む 0234 母ちゃんの腹を撫でつつ西瓜切る 0235 ふるさとは河の匂いや黄西瓜 0236 西瓜畑寝ずの番にて酒宴かな 0237 西瓜見て必ず叩くおやじかな 0238 爆音や烏脅しの西瓜畑 0239 前掛けで井戸まで運ぶ西瓜かな 0240 喰いさしは母の手による西瓜漬け 0241 西瓜しか食えぬ時代の立ち話 0242 吾が胸の燃ゆる思いの西瓜切る 0243 飽食の御世に西瓜の極限値 0244 当てもんの極意を知って西瓜切る 0245 生臭き西瓜の何処に市民権 0246 西瓜斬るまでが命の講釈師 0247 刃先吸ひ袈裟に裂けたる西瓜かな 0248 鎮魂歌聞きて西瓜を撫でにけり 0249 売りもんの西瓜はみんな人の口 0250 少年の刷り込み西瓜鮎の味 0251 たましひを込めた西瓜の重きかな 0252 ふるさとの河の匂ひや黄西瓜 0253 吾が胸の燃ゆる思ひや西瓜摘む 0254 終戦日サプリメントの媚薬めき 0255 終戦日星の融合無音なり 0256 鎮魂の放鳥一発終戦日 0257 勲章の斜めになりて終戦日 0258 終戦日愚かな父へ近づく日 0259 虚しきは誓いの薄れ終戦日 0260 ノリヲの眼まことかなしや終戦日 0261 へそ出しのゆく末哀し終戦日 0262 臍出しの乙女けせらや終戦日 0263 大和男児セピアの父の終戦日 0264 貰い乳乳母も逝きたる終戦日 0265 恐ろしき笑顔の裏や終戦日 0266 額縁の裏書薄れ終戦日 0267 乳飲子の還暦越へし終戦日 0268 終戦日昭和は遠くなりにけり 0269 開墾地母としとせり終戦日 0270 淵蒼き河童の郷や終戦日 0271 教会の鐘に染まりし秋蝉や 0272 東京の砂漠ざくざく秋蝉の落ち 0273 秋蝉の鳴きやみし時花割れり 0274 短調に変調したり秋の蝉 入選 0275 秋蝉や明日は吾の断末魔 0276 秋蝉やかしまし汝子をなせり 0277 秋蝉の消えし墨絵や杜の影 0278 北国の切り子に浮かぶ秋の蝉 0279 気の弱さ変へたしけふの秋蝉 0280 鎮魂の杜をはずれて秋の蝉 0281 秋蝉の飛び去りし樹は人肌 0282 秋蝉や沖の小島にわすれもの 0283 秋蝉の声紋模写に無音なり 0284 鮨詰めの籠で喘ぐや秋の蝉 0285 猿酒の浪漫の果てや酔ひて候 0286 猿酒や因数分解解けぬまま 0287 猿酒の洞を見つけし地獄山 0288 猿酒の花咲山の祠かな 0289 猿酒と思ひて燗の黒ぢょか 0290 かにかくに郷の青嶺やましら酒 0291 乙女らの孔雀の衣やましら酒 0292 猿酒や風に吹かれて落ち零る 0283 たましいの如く猿酒をゆすってみる 0294 共存的他者と黙してましら酒 0295 林間に猿酒温め紅葉を焚く 0296 葉月の夜愚息にたつきの憂いあり 0297 最後にはおまえと二人葉月潮 0298 葉月海夜陰の太刀魚艶かし 0299 またいつか二人にかへる葉月海 0300 いつか来た道に戻りぬ葉月潮 |
| 0101 恐ろしき胸の谷間やアッパッパ 0102 句作とはミロダリキリコあり地獄 0103 湯上りや二年の梅酒胸染めり 0104 姫著莪の深き木立の影の揺れ 0105 菖蒲の葉乳首擦りて湯を撥ねり 0106 切っ掛けを待つかの如く蝮酒 0107 骨きりの音しゃきしゃきと床涼み 0108 鞍馬出て川床に暫しの二人連れ 0109 青春の道問ひゐたる梅酒かな 0110 竹の子や詰襟首に馴染むころ 0111 投げ出した四本の足に西日かな 0112 夏の夜ミュールの客の気にかかり 0113 開墾や母としとせし茂りかな 0114 つる薔薇のみな空向きし二番咲き 0115 校庭の端にボールや梅雨の朝 0116 羽根の艶残りしままに蝉落ちる 0117 菖蒲の葉湯気に乳房の浮かびけり 0118 花林檎心てふ実の袋掛け 0119 女房の笑って虐むる暮の秋 0120 丑の日や伊予のリンダに接吻す 0121 さりげなく刻の過ぎゆき無月なる 0122 用水の溢るる音の茂りかな 0123 月涼し丈山吟ず友ありき 0124 うりへちまかぼちゃにきゅうり良き日哉 0125 朝涼や小径に女の匂ひ待つ 0126 孫去りて胸は虚ろに風の死す 0127 我が桃は乾燥中なり投げキッス 0128 明星に染まりて消えし蝉時雨 0129 蝉消えてなにやら強し杜の影 0130 木間暮に風笑ひたる生身霊 0131 万両の赤で割りたるロックかな 0132 朝飯や褞袍に垂るる乳房かな 0133 どんど火やするめに背なの曲線美 0134 抱き逢ふて厳寒溶かす欅かな 0135 「蹴りよった?」胎に耳当て抱く寒夜 0136 御節会の薬缶重たき女学生 0137 東雲や朱の色相なれ山冴ゆる 0138 誰が妻と神は納めり春着の娘 0139 同胞の誰かれ逝きし寒椿 0140 寒椿ほたりほたりの鉄路かな 0141 ハイボールの泡に音する寒の入り 0142 日向ぼこ影より逃げぬ意地っ張り 0143 ヘリ轟音地には震災鎮魂歌 0144 花ぬす人伊予のをんなの寒見舞 0145 成人や御髪に色香も零れけり 0146 皸やメンタム弾く鍋磨 0147 お〜いお茶!抑揚変えし寒の雨 0148 春の川泣いてもさらさらながれません 0149 血を吸ひて枯れた根っ子や藤の房 0150 夏めくや母の乳房の顔を出し 0151 ハンカチに雪片を受く通夜帰り 0152 ハンケチの紅と色香を見逃さじ 0153 ハンケチや気付きし時既に修羅場 0154 鴉の子母の美声の不滅なり 0155 鴉の子母の美声の祇園かな 0156 鴉の子夢にも出て来ぬ母の顔 0157 鴉の子守りし母は超ママゴン 0158 湯上りや梅酒に胸染まる谷間かな 0159 青春の道問ひゐたる梅酒かな 0160ラジオより流るる選評梅酒注ぐ 0161 アカシアの雨の向こふに闘士消ゆ 0162 アカシヤの雨の向こふの闘士かな 0163 ヒメダカに溺れし吾に母の腕 0164 学校はもう死んだと目高言ふ 0165 睨まれて凄まれてものいふ目高 0166 やっちんの墓石洗ろふて草笛を 0167 やっちんの墓洗ひて草笛を吹く 0168 まあちゃんの草笛聴こゆ婆の耳 0169 まあちゃんの草笛聴こゆ峠路 0170 草笛やどかべんすみてからからと 0171 師の通夜の丘に登りて草笛を 0172 草笛やすききらいすききらいすき 0173 草笛を教えしあの子いっちゃった 0174 九十九折草笛吹いて一服す 0175 九十九折草笛木霊と響きをり 0176 水無月や鮎釣り舟に主なし 0177 水無月や鮎釣り舟のカーバイト 0178 水無月や畦の蝮の首刎ねり 0179 水無月や鮎釣り舟に点灯す 0180 水無月や靄の彼方へ師の逝けり 0181 水無月の涙の雨の塩辛き 0182 水無月やメタセコイヤの絞りたて 0183 水無月や走ってはしって駅の道 0184 句作とはミロダリキリコ蟻地獄 0185 俳諧やミロダリキリコ蟻地獄 0186 蟻地獄明日は吾の断末魔 0187 床下の10円見つけ蟻地獄 0188 心象の叙情の御託や蟻地獄 0189 節介は要らぬお世話と蟻地獄 0190 雄殺蟻地獄此後休暇 0191 冷麦の太さで叩く土砂降り 0192 冷麦や中途半端な存在感 0193 かあちゃんの冷麦ねぎばかり 0194 冷麦や井戸の水神今はなく 0195 冷麦を冷やして水神海へ逝く 0196 冷麦の中途半端に存在感 0197 郭公やきょうだい喧嘩に母の泣き 0198 郭公の父無き夕餉の無言かな 0199 郭公や母の教へのわかるころ 0200 郭公や胸に師匠の卒塔婆建つ |
0301 いつか来た道に戻りぬ葉月海 0302 吾が翳の何れは消ゆる葉月宿 0303 この恋も虚しく終へし葉月海 0304 葉月かな竦みし足の滝の上 0305 始業式妙に艶めく葉月かな 0306 ひとなつの経験秘めて葉月かな 0307 高瀬舟川瀬哀しき葉月かな 0308 情焔を覚ます簾や葉月の夜 0309 睦に弥生葉月にカンナ誰の妻 0310 いちかけてにかけてさんかけ敬老日 0311 菩提樹の翳に寄り添ふ敬老の日 0312 師の逝きてまこと寂しき敬老日 0313 病棟の母にも届け敬老日 0314 薄味に怒り塩もて敬老日 0315 母背負ふ文左もいまや敬老日 0316 敬老の日切干は枯れ行くのみ 0317 敬老の日の立杭焼の黒光り 0318 玄孫まで系図を埋めし敬老日 0319 英文の電信来てをり敬老日 0320 玄孫まで系図を埋めて敬老日 0321 またけふも赤子にかへる敬老日 0322 敬老日藻川の流れとうとうと 0323 善哉の餅を減らして敬老日 0324 象亀は二百歳なり敬老日 0325 亡き母の翳は青嶺や敬老日 0326 饅頭を二個買ひたり敬老日 0327 佳人ほど糸瓜の水で事足れり 0328 佳人ほど糸瓜の水の薄化粧 0329 麗人の醸す色香や糸瓜水 0330 糸瓜棚床几に群がる王手飛車 0331 糸瓜棚群がる縁台将棋かな 0332 姥桜垂れたる糸瓜の哀しけり 0333 垂乳根の糸瓜の夜のなまめかし 0334 夢にまで出て来ぬ母の糸瓜かな 0335 ながながし予約済みなり糸瓜棚 0336 糸瓜忌やはないちもんめの唄匂ふ 0337 とうちゃんの背中に余る糸瓜かな 0338 ばあちゃんの糸瓜の水はもう来ない 0339 諸手では届かぬ島の糸瓜かな 0340 糸瓜垂れ青瓢箪の受験生 0341 馬追や寝間の中から運動会 0342 馬追や寝間の中にも原野かな 0343 馬追や赤い蹴出しの見え隠れ 0344 馬追や母の涙を捨てにゆく 0345 藍蚊帳の涎の跡やスイッチョ鳴く 0346 馬追の天井這ひし四畳半 0347 停車場の古椅子端にスイッチョ鳴く 0348 停車場の椅子に座りてスイッチョかな 0349 スイッチョの髭の震えや蚊帳の中 0350 馬追のこへを後ろに母を追ふ 0351 馬追のうしろ母追ふ泣く子かな 0352 馬追の後から母追ふ泣き虫つ子 0353 馬追や穴より漏るる朝陽かな 0354 馬追や乳飲む乙子の妬みかな 0355 ふるさとの馬追鳴ける無人駅 0356 ふるさとの馬追鳴ける橋の下 0357 馬追の鳴音響ける畦に佇つ 0358 水棹さす雲の果てまで水澄めり 0359 水棹さす村の渡しや水の秋 0360 水澄めり鞍馬の杉の神々や 0361 水澄むや師匠の遺作に蒼い翳 0362 水澄むや大の字で観る北斎画 0363 秋水や丈山吟ず友ありき 0364 水澄むや葉陰の円の揺れ動き 0365 秋水や刃の翳で切る波紋 0366 水澄むや櫨蘭咲くを見逃さず 0367 水澄むや寝釈迦の乳房映えにけり 0368 水澄めり朱印の後の一休み 0369 秋水の心の襞の止揚かな 0370 教会や胸にバッハの秋響き 0371 碑や欅紅葉のトトロなり 0372 刻停まり欅燃えだす無人駅 0373 我もまた気の狂れたくなりし冬の暮 0374 気の狂れし漢の金柑吾も欲し 0375 菰を捲く夫婦の顔の皺に艶 0376 若てふ字間違ふことなく暮れ早し 0377 寄り添ふて星の流るる冬の暁 0378 母上の愛は知らむとななかまど 0379 不可思議や秋の終わりの煮込みかな 0380 不易糊舐めたき衝動青蜜柑 0381 不得手なるものありうれし二人鍋 0382 不縁にて離れし母のななかまど 0383 不可不可と蔦の黄落学生街 0384 蒼天に虎の泣き出す隙間風 0385 刻停まり欅燃えだす無人駅 0386 秋雨や沁み込み痕の切り通し 0387 暖かき風をポッケに冬に入り 0388 東より季節外れて風来たる 0389 寄り添へば星の流るる冬の暁 0390 若てふ字間違ふことなく暮れ早し 0391 若いてふ字間違ふことなき祭りかな 0392 十月の竹林に蒼き祭り笛 0393 丈山を吟じし友の祭りなり 0394 逝く秋や朋竹林の風となり 0395 竹林の風の向こふに鱗雲 0396 洛北の紅葉を羽織り旅人たり 0397 身に沁むやバッハの音色蒼き風 0398 行く秋や黒き瞳に神存ます 0399 手は腰に左右に交差星月夜 0400 青栗や夢食う獏になりきって |