藻川亭河童の10000句への道 その2   20070428
0401 秋日和仁丹の香とすれ違う
0402 髪切って十月の風透き通る
0403 漂泊の詩人の立てる花すすき
0404 草庵の畳の青き秋翳り
0405 丈山を吟じし友や月の客
0406 桜紅葉友と語らふ刻の濃し
0407 詩仙堂に来し晩秋のプロローグ 
0408 十月の竹林に蒼き風穴
0409 満月に寄り添ふ星や今朝の秋
0410 秋寂びぬ友竹林の風となり
0411 つくばいに楓紅葉の浮き沈み
0412 師の後を離れずに行く秋うらら
0413 竜胆の蒼に染まりし指疼く
0414 秋桜や小宇宙てふ蒼い河
0415 聖職の模索の果てや鰯雲
0416 青栗や獏になりきり夢を食う
0417 中也忌やもがきし青春のほろ苦く 
0418 堂島にみな偉く観ゆ朝の秋
0419 我が桃は乾燥中なり投げキッス 
0420 堪忍の笑顔の痕に温め酒
0421 ふるさとの丘の十字架秋はじめ
0422「太閤の湯」を独り占めして望の月
0423 秋蝶のひたすら蒼き低翔 
0424 白粉花の一色となり入り込む
0425 苦瓜の一本実る陽の眩し
0426 弁当を詰める日常野分あと
0427 鎮魂の杜を離れし秋暑し 
0428 教職を離れし月日野分聴く 
0429 聖職の模索の果てや鰯雲
0430 草の花そっと起こせり花時計
0431 ハタハタの弾ける如き花時計
0432 バスの揺れ秋の愁ひへ深いりす
0433 有馬の湯山重ねたる無月かな 
0434 黒板に白墨一線九月尽
0435 寡黙なる教師の背中秋刀魚焼く 
0436 秋ざくら合点ゆくまでの占い師
0437 紅葉燃えサツキの小山羽織りおり
0438 病む腕に見立てしカンナお主斬る
0439 木間暮に風笑ひたる生身霊
0440 雲走り雲流れゆく黄菅かな
0441 行く秋や子にそれぞれの日記帳
0442 よいやみやわたしのみみはかいのみみ
0443 短調に転調したりつくつくし
0444 密々と心てふ実の袋掛け
0445 青春の道問ひゐたる梅酒かな        
0446 あさがほのふらりと夜をただよえる     
0447 投げ出した四本の足に西日かな
0448 コスモスの蒼いプロペラ窓越へて
0449 羽根の艶残りしままに蝉落ちる     
0450 仕出屋の簀の子洗われ梅雨明ける
0451 梅雨の晴れ娘の白衣メロン色
0452 停車場の椅子に座りて鰯雲 
0453 牛蛙鳴くな腕病む我なれば
0454 コスモスの蒼いプロペラ窓越へて
0455 インナーもハイジと替わり子どもの日
0456 裾濡らし母も銀河のほとりなり
0457 夏の夜ミュールの客の気にかかり
0458 梅雨靄の彼方に母の樹を探す
0459 惚れ直す妻の健啖冷やし汁
0460 夏蓬鉄路に声の残りいて 
0461 お袋の手拭い丸め蛍籠
0462 杉木立背筋冷たく著莪の花
0463 母の歳越えたる朝の新茶かな
0464 故郷の仏間に母の単衣かな
0465 橘の花や薫子たれの妻
0466 竹の子や詰襟首に馴染むころ
0467 姫著莪の深き木立の影の揺れ
0468 雲の峰捨てし郷より公文書
0469 小満や孫の小水顔で受く
0470 十劫の天女の衣や釣忍 
0471 葉桜の風透き通る肉桂飴
0472 櫻蘂端に溜まりて離任式
0473 薔薇の芽や風に弾けてエクスタシー
0474 ほけきょけきょ今朝の鶯五重丸
0475 恍惚の風に這われてさくら蘂
0476 菖蒲の葉乳首擦りて湯を撥ねり 
0477 切っ掛けを待つかの如く蝮酒
0478 骨きりの音しゃきしゃきと床涼み
0479 鞍馬出て川床に暫しの二人連れ
0480 恐ろしき胸の谷間のアッパッパ
0481 句作とはミロダリキリコあり地獄
0482 湯上りの二年の梅酒に胸染まり
0483 泣きじゃくり梔子匂ふ母の胸
0484 運動会大和兵の児の末路かな
0485 運動会大和男児の消えにけり
0486 祇園会や路地の裏にて密会す
0487 飲み明かし四条の河原の水ぬるみ
0488 はつ秋のひとづま衿に眩暈かな
0489 十六夜の我を諭せる母の声
0490 孫の手に代わりてサシの秋暑し
0491 木屋町の路地の裏さへ秋にゐる
0492 月涼し丈山吟ず友ありき
0493 見苦しき裸体を隠し紅葉燃ゆ
0494 ときめきの裸体を隠す紅葉かな
0495 ときめきの胸元隠す紅葉かな
0496 紅葉して語らふ夜を待ちきれず
0497 洛北の紅葉をすべていただきぬ
0498 洛北の紅葉を羽織る旅人かな
0499 小有洞潜りて紅葉の血となりぬ
0500 朝シャンの娘の胸や渓紅葉    
0601 霜月の行きて空にはピラカンサ    
0602 鶴渡る幼き頃の田の広さ  
0603 情け無し熱き雑炊も冬の韮     
0604 間引き大根ありがとうと椀に入れ   
0605 小春日や妻と息子は今目覚め     
0606 冬薔薇の新芽竿まで届きけり     
0607 山茶花の散りし路なりペダル漕ぐ   
0608 冬の朝茶漬けに三菜ひとりかな    
0609 冬の雨樹木のみどりのいそがしさ   
0610 庭掃きて守宮脅かす新葡萄酒の日   
0611 小春日や垣根の薔薇の見苦しさ    
0612 ひさかたの短陽照りて十一月     
0613 寒村や棚田のひつじ摘みしころ    
0614 冬晴れや洗い浚いの煮しめ炊く    
0615 冬ながら白子に大根の朝餉かな    
0616 道普請見知らぬ顔や今朝の冬     
0617 憂鬱な門歯ぐらつき鵯来る      
0618 抜けろ抜けろ抜けろ抜けろ門歯冬近し 
0619 出がらしをすすりて押入れ冬支度   
0620 ななかまどおれおれさぎになくばばよ 
0621 牡丹雪薔薇の芽濡らす晦日かな  
0622 津波禍に世界の支援急ぐ暮れ   
0623 年の瀬や心もこほる津波かな   
0624 海割れて地獄をみたり年の暮    
0625 髪染めて床屋前かな妻の暮れ  
0626 幾歳の聖夜の菓子の食べ初めし  
0627 今流か聖夜謳歌の息子かな    
0628 鶫来て番で鳴きあう年の暮    
0629 皸の指を数えて炊事かな  
0630 気を病んで手抜き夕餉の冬至かな  
0631 庇護故の教へを学びて冬かなし    
0632 鬱かなし眩き泪目ルミナリエ     
0633 穏やかな冬の日和や義士祭   
0634 胸重き蒼き美空や歳は過ぎ   
0635 麗らかな師走の陽射しや髪洗ふ   
0636 冬薔薇に学校帰りの輝く瞳    
0637 木守柿雀一羽の盗む朝   
0638 鬱鬱の情けなきかな漱石忌  
0639 葱汁の熱き甘味や歳の暮   
0640 カーテンを替えて豊かに冬めきぬ  
0641 冬菜切り冷たき朝の澄み渡る
0642 日曜の朝とほりすぎたるふゆあらし  
0643 早すぎる大掃除にて疲れたり   
0644 二人鍋むかしむかしの子等の席   
0645 茶を飲みて眠れぬ冬の朝刊待つ    
0646 冬薔薇(そうび)耐えて永らふ十二月 
0647 味噌造るけふで1月終いかな         
0648 検診の居直るあしたに春見えず        
0649 晩冬に熱き煎茶の老ひふたり         
0650 冬枯れや見渡す限り只一人          
0651 藻川来て川底うつろひ枯野かな        
0652 冬深き全集読みて過ぎる日々         
0653 春を待つ髪にバンダナ巻いてみる       
0654 水仙の一輪挿しとはかなしけれ        
0655 結露拭きへのへのもへじの指の跡       
0656 大寒の朝にめまいを覚えけり         
0657 寒の雨薔薇のなかに溜まりけり        
0658 セミリタイア麗句はいらぬ寒の内       
0659 荒れし手にメンタム塗りて水仕事       
0660 凍み豆腐喰らうに知恵の熱き鍋       
0661 小正月工事の音で日が暮れぬ         
0662 初孫もはや二歳なり寒の内         
0663 恐ろしき御世となりけり初戎         
0664 成人の髪に女の色香あり           
0665 初場所やかの取り的の芽はいつぞ       
0666 小寒や有田の蜜柑届きけり          
0667 七草を残り物にて済ませけり         
0668 小寒や高き鮪はたれが喰ふ          
0669 平凡に軒に降り立つ初雀           
0670 教え子のみな大きく見えし去年今年      
0671 松の内残る日数を数えをり          
0672 正月や天青くして薔薇の藍          
0673 元日や洗濯物干す男あり           
0674 履歴書の男の道は春霞    
0675 雪月花春一番の賑やかさ  
0676 寒風に腕を廻してポストまで  
0677 一羽二羽藪の雀に春時雨   
0678 春一番登校の子等の弾けおり  
0679 山茶花に巣くってさわぐすずめかな   
0680 ふるさとのやまにむかひて鶯よはらはらと哭け 
0681 土鍋きて春の食材我れ一人  
0682 恒産無き憂国論聴かぬ妻クエの旅   
0683 雨水きて妻の背な押す茶碗坂  
0684 梅の枝袂に届くポストまで    
0685 後れ毛に蒼き風立つネオンの灯  
0686 故郷も鶯飛び交う主夫重ね  
0687 バレンタイン義理や不義理の飛び交う夜  
0688 娘等の太き会話に春の風邪
0689 如月のだいこ大根で週の末   
0690 わたくしは私で良いのよ大根炊く 
0691 鈍より春雨しんこかんこの音のせり 
0692 かあさんの忌日も忘れ春の酒    
0693 春雨も傘も重たき朝の土手  
0694 ハウス棟大輪ポピーや月曜日  
0695 賞句作妬む技量に春寒し   
0696 吾までも目鼻おかしく春立ちぬ  
0697 立春や還付金在り腕まくる   
0698 凍雪を踏んで柊挿しにけり   高野 素十
0699 黙してる貝になりたや節分か   
0700 着膨れて裸薔薇に待つ春を  
0501 洛外に追はれるごとき僧都かな
0502 いにしえの追はれるごとき僧都の音
0503 洛北の胸に沁みゐる僧都かな
0504 間の抜けた音は昔の僧都かな
0505 大衆的憂鬱見上げる詩仙
0506 秋翳り蒼き畳のメランコリー
0507 人過ぎて下がり松にも秋翳り
0508 武蔵の流せし血のごと薄紅葉
0509 ものいはば叱らるるごと僧都の音
0510 丈山を吟じし友や秋三歳
0511 枯山水紅葉の赤に沁みる胸
0512 林間に酒を温めし紅葉かな
0513 此れよりは師の後離れぬ秋意かな
0514 あらためて知るは重たき京の秋
0515 たたたたと僧都弾ける詩仙堂
0516 漂泊の旅人の名を告げ花芒
0517 てふてふのみゆるを信じて紅葉する
0518 秋蝶の紋をとらえし蒼き風
0519 用水の門を浚へて梅雨に入り   
0520 つる薔薇のみな空向きし二番咲き
0521 マシュマロの吐息のごとき彼岸入り
0522 バレンタイン義理のむかひに哀しき灯
0523 春寒や妻の寝汗を拭きおりぬ
0524 雨水かな妻の背な押す茶碗坂
0525 やさしさの眼で追わる浮かれ猫
0526 間引き大根有難うと椀に入れ
0527 くちなしの匂ひ拡がるみずぐるま
0528 犬洗う飯場男の夏期休暇
0529 ふるさとは葉桜透かしその向かふ
0530 十劫の天女の衣や天の川      
0531 夏の朝孫の笑顔に狂いけり     
0532 不揃いの何時まで咲くや薔薇の朝  
0533 掃き出され恨みつらみの守宮かな
0534 夏の夜ミュールの客が気に懸かり
0535 鮮血の唇裂け女やカンナ剪る  
0536 台風禍片付け挨拶交換品     
0537 蔓珠沙華忌み名を貰いて何故燃ゆる 
0538 唐黍もチンで二分の御世と成り   
0539 ぶるるると震えて羽織る秋の声   
0540 秋風やまさかの完封アテネ発     
0541 コスモスやプロペラ放つ幼き手   
0542 梅干して一ヶ百円と換算す    
0543 つぎつぎと知り合い逝きし今朝の秋 
0544 葉月の夜愚息を訪ねし夫婦道    
0545 盆の月父母無しやけぶり絶ゆ    
0546 秋めくや娘のグラスにバルサミコ  
0547 青山や今年も帰らぬ盆の墓      
0548 あちこちの新盆近くなりにけり   
0549 夏布団干しすぎたるや我の無知   
0550 花おくら生意気に糸引く朝餉かな  
0551 我も又斯様なる断末魔か蝉時雨   
0552 半熟の卵の如き払暁の月  
0553 暑中見舞いあれよあれよと時期逃し 
0554 台風の銀座といはれて何事ぞ    
0555 雨の月のこりいただくパスタかな  
0556 熱波の地震の台風の火山灰の秋は行く
0557 テレビにて主宰の桃子秋を詠む   
0558 茸飯米の不味さに納得す    
0559 ひさかたのともに朝餉の秋彼岸   
0560 雑草と言ふ名は無かりし草の花    
0561 真夏日の記録更新ひやひやと    
0562 東西の激論野球や賢治の忌     
0563 零したる赤きワインや獺祭忌     
0564 PCを弄って潰し冷まじく    
0565 積りたる恨み一蚊や秋の夜    
0566 殺生をし尽くし去りたる颱風禍    
0567 穀象の逃ぐる古櫃新米足し     
0568 我が時世林檎の如く悲しかり    
0569 白露前毛布引き寄す朝寝かな    
0570 美味なるも腸ほかされし秋刀魚焼く  
0571 宿題の重たき鞄二百十日なり     
0572 時計草思い出したる今は霜月  
0573 落ち鮎もこぞの冷凍残りおり   
0574 柚子貰い使い道なく時は過ぎ  
0575 秋陰や放屁の数は老いの路    
0576 晩秋やバイクの嵐に歯が疼き  
0577 秋雨のライオン泣くか動物園    
0578 無情なり地べた裂けたる里の秋  
0579 馬鈴薯の箱ごと届き出る欠伸   
0580 増税のシナリオ隠し秋は行く    
0581 茸飯継ぎ足す具にぞ迷いけり    
0582 早生蜜柑むきたる指のしびれかな   
0583 樋漏れて白糸やうなる台風圏  
0584 金木犀雨に撃たれてまた歯痛   
0585 双子なり母娘で奈良街秋行楽  
0586 桜山の湯入れて気分は黄落地    
0587 朝寒や鼻水たれて重き脚  
0588 赤い羽根子等の大声たくましく    
0589 おいらにはおいらの道さ銀杏の実   
0590 秋晴れやよちよち孫の帰京かな   
0591 柿熟しわが身も溶ける青い空   
0592 秋風や妻に病の兆しあり     
0593 人気無きパンダ舎前は暴れ風     
0594 双子なり双子の母娘菊日和   
0595 肌寒やいがらき喉にとける蜜   
0596 秋時雨合羽の袖の一滴    
0597 団栗をじゃらじゃら零しまた走る   
0598 秋の夜は流るる雲と茶をすすり    
0599 イチローの記録に祝福運動会   
0600 十月の透きとほる風や髪を切る   
0701 花冷えやクライドフォーユー愛は無重力  
0702 朽ち木株菫住み着き光り弾けり   
0703 春風やミントの接吻二重奏   
0704 濡れ烏抱いてやりたや春霙  
0705 切干に染み込ませたり春の人   
0706 春寒や優しくなってキスをする  
0707 甘夏のカプセル弾く桜東風    
0708 甘夏や琥珀の石の耳飾    
0709 センバツや屁垂れの履歴苦き雨   
0710 夜なべして瞼も重き春の雨  
0711 サリン禍の悪魔が堕ちる春彼岸  
0712 なによりも 蒲団の軽ろき 彼岸入り    
0713 みずたまりさかさにつぼみゆれうごき   
0714 じくじくと淋しき雨や彼岸入  
0715 煩悩にのたうちまわる彼岸入り  
0716 選抜の声を聞くなりお水取り    
0717 風きつく春とは名のみ午後のお茶
0718 春の日にぼたんの雪の初日かな   
0719 春寒しガウンのままのなまくらさ   
0720 水平の思考に泣きし春の暮   
0721 春の風下着替えたる散歩かな    
0722 春暁や肩の痛さに目覚めけり    
0723 キャンバスは紅一点春の土手     
0724 光る川土手駆け上がり振り返る   
0725 春寒や濃ゆき豆茶の昼下がり   
0726 袖に来て遊び消ゆるや春の雪    高浜 虚子
0727 春雨や小磯の小貝ぬるるほど    蕪村
0728 哀調を帯て嬉しく紙の雛   
0729 なむとなく空も広かり嗚呼弥生   
0730 なむとなく空も広けり嗚呼弥生   
0731 榎若葉連休静かに過ぎてゆく  
0732 壱拾連休薔薇の若葉に風そよぐ   
0733 薫風に背なを押されて虹を掘る
0734 大仏のごと太き鼻たれ菖蒲の湯  
0735 生垣のまだ不揃いなる躑躅かな    
0736 脱線の一報続々夏迫る   
0737 韻律の良さも解らず穀雨過ぎ  
0738 清記書に時を忘るる春の宵   
0739 昨日より親に近付く榎若葉   
0740 沈みゆく吾に優しき花水木  
0741 ふるさとは葉桜透かしその向かふ  
0742 立居振舞連れと学びし花筏  
0743 行く春やジオラマラックに反日論
0744 逝く春や選句残せし遣らず雨   
0745 断酒断煙葉櫻の如く爽やかに  
0746 薔薇の芽の紅き雫の甘露かな  
0747 浮橋となりて静かに終の花   
0748 離任式蘂も端こに溜まりおり
0749 櫻蘂落として雀の一羽二羽  
0750 果敢なさも笑い飛ばして櫻蘂  
0751 押花の壱歳寝たる山桜  
0752 枳殻や碧の髪の母の影     
0753 風が這う愛しき花の乱れけり   
0754 用水路蘂を落として雨の鳥   
0755 清明や赤子の眼差し恥ずかしく    
0756 雪柳百葉双を埋め尽くし   
0757 百葉双埋もれて寂しく雪柳
0758 雪柳眠りたおやか百葉双   
0759 道に沿うデジタル欄干リラの花   
0760 橋梁の月を離れぬ冬の星
0761 畦道の月を離れぬ冬の星
0762 随道の月を離れぬ冬の星
0763 姨捨の月を離れぬ冬の星
0764 村の路月を離れぬ冬の星
0765 みささぎの月を離れぬ冬の星
0766 紫尾の嶺や月を離れぬ冬の星
0767 井戸端に月を離れぬ冬の星
0768 お浄土や月を離れぬ冬の星
0769 人恋し月を離れぬ冬の星
0770 初恋の月を離れぬ冬の星
0771 深夜便月を離れぬ冬の星
0772 遠吠えや月を離れぬ冬の星   
0773 みんな好き月を離れぬ冬の星   
0774 凍てし月蒼き心の薄かりし   
0775 凍てし月凛と構えて朝の路   
0776 花八ツ手捲くりし腕に塵袋       
0777 『真っ赤だな!』流るゝ窓に櫨紅葉   
0778 胞子飛び何処へ旅ぞ茸山        
0779 軍手の白時雨に映えるアーク灯    
0780 道沿いのデジタル欄干リラの花
0781 枳殻の母さん碧の花匂ふ  
0782 からたちのかあさん単衣花匂ふ  
0783 欄干やデジタル思考の春絵巻  
0784 春や川底ひそりひそりと歩きをる  
0785 飴溢し損得得損春の朝   
0786 薔薇の芽や弾ける収穫青菜かな   
0787 行く春やけふのコロッケ一工夫   
0788 行く春や格差七割乞食は見えず餓死もせず  
0789 春休み足跡無くてけぶる庭    
0790 サクラ待つ無人の校庭硬き門    
0791 おろか村去年の退職四月馬鹿    
0792 無き郷の謄本取りし夏の雲
0793 羽尺地を仕立てし娘浮葉かな
0794 この週も小遣い無しの冷蔵庫
0795 句作とはミロダリキリコ雲の峰  
0796 恐ろしき胸の谷間のアッパッパ
0797 湯上りの谷間染まれり梅酒かな 
0798 菖蒲の葉乳首擦りて湯を撥ねり  
0799 花瓢夕餉の匂ひ拡がりて   
0800 泣きじゃくり梔子の香や母の胸


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