| 0401 秋日和仁丹の香とすれ違う 0402 髪切って十月の風透き通る 0403 漂泊の詩人の立てる花すすき 0404 草庵の畳の青き秋翳り 0405 丈山を吟じし友や月の客 0406 桜紅葉友と語らふ刻の濃し 0407 詩仙堂に来し晩秋のプロローグ 0408 十月の竹林に蒼き風穴 0409 満月に寄り添ふ星や今朝の秋 0410 秋寂びぬ友竹林の風となり 0411 つくばいに楓紅葉の浮き沈み 0412 師の後を離れずに行く秋うらら 0413 竜胆の蒼に染まりし指疼く 0414 秋桜や小宇宙てふ蒼い河 0415 聖職の模索の果てや鰯雲 0416 青栗や獏になりきり夢を食う 0417 中也忌やもがきし青春のほろ苦く 0418 堂島にみな偉く観ゆ朝の秋 0419 我が桃は乾燥中なり投げキッス 0420 堪忍の笑顔の痕に温め酒 0421 ふるさとの丘の十字架秋はじめ 0422「太閤の湯」を独り占めして望の月 0423 秋蝶のひたすら蒼き低翔 0424 白粉花の一色となり入り込む 0425 苦瓜の一本実る陽の眩し 0426 弁当を詰める日常野分あと 0427 鎮魂の杜を離れし秋暑し 0428 教職を離れし月日野分聴く 0429 聖職の模索の果てや鰯雲 0430 草の花そっと起こせり花時計 0431 ハタハタの弾ける如き花時計 0432 バスの揺れ秋の愁ひへ深いりす 0433 有馬の湯山重ねたる無月かな 0434 黒板に白墨一線九月尽 0435 寡黙なる教師の背中秋刀魚焼く 0436 秋ざくら合点ゆくまでの占い師 0437 紅葉燃えサツキの小山羽織りおり 0438 病む腕に見立てしカンナお主斬る 0439 木間暮に風笑ひたる生身霊 0440 雲走り雲流れゆく黄菅かな 0441 行く秋や子にそれぞれの日記帳 0442 よいやみやわたしのみみはかいのみみ 0443 短調に転調したりつくつくし 0444 密々と心てふ実の袋掛け 0445 青春の道問ひゐたる梅酒かな 0446 あさがほのふらりと夜をただよえる 0447 投げ出した四本の足に西日かな 0448 コスモスの蒼いプロペラ窓越へて 0449 羽根の艶残りしままに蝉落ちる 0450 仕出屋の簀の子洗われ梅雨明ける 0451 梅雨の晴れ娘の白衣メロン色 0452 停車場の椅子に座りて鰯雲 0453 牛蛙鳴くな腕病む我なれば 0454 コスモスの蒼いプロペラ窓越へて 0455 インナーもハイジと替わり子どもの日 0456 裾濡らし母も銀河のほとりなり 0457 夏の夜ミュールの客の気にかかり 0458 梅雨靄の彼方に母の樹を探す 0459 惚れ直す妻の健啖冷やし汁 0460 夏蓬鉄路に声の残りいて 0461 お袋の手拭い丸め蛍籠 0462 杉木立背筋冷たく著莪の花 0463 母の歳越えたる朝の新茶かな 0464 故郷の仏間に母の単衣かな 0465 橘の花や薫子たれの妻 0466 竹の子や詰襟首に馴染むころ 0467 姫著莪の深き木立の影の揺れ 0468 雲の峰捨てし郷より公文書 0469 小満や孫の小水顔で受く 0470 十劫の天女の衣や釣忍 0471 葉桜の風透き通る肉桂飴 0472 櫻蘂端に溜まりて離任式 0473 薔薇の芽や風に弾けてエクスタシー 0474 ほけきょけきょ今朝の鶯五重丸 0475 恍惚の風に這われてさくら蘂 0476 菖蒲の葉乳首擦りて湯を撥ねり 0477 切っ掛けを待つかの如く蝮酒 0478 骨きりの音しゃきしゃきと床涼み 0479 鞍馬出て川床に暫しの二人連れ 0480 恐ろしき胸の谷間のアッパッパ 0481 句作とはミロダリキリコあり地獄 0482 湯上りの二年の梅酒に胸染まり 0483 泣きじゃくり梔子匂ふ母の胸 0484 運動会大和兵の児の末路かな 0485 運動会大和男児の消えにけり 0486 祇園会や路地の裏にて密会す 0487 飲み明かし四条の河原の水ぬるみ 0488 はつ秋のひとづま衿に眩暈かな 0489 十六夜の我を諭せる母の声 0490 孫の手に代わりてサシの秋暑し 0491 木屋町の路地の裏さへ秋にゐる 0492 月涼し丈山吟ず友ありき 0493 見苦しき裸体を隠し紅葉燃ゆ 0494 ときめきの裸体を隠す紅葉かな 0495 ときめきの胸元隠す紅葉かな 0496 紅葉して語らふ夜を待ちきれず 0497 洛北の紅葉をすべていただきぬ 0498 洛北の紅葉を羽織る旅人かな 0499 小有洞潜りて紅葉の血となりぬ 0500 朝シャンの娘の胸や渓紅葉 | 0601 霜月の行きて空にはピラカンサ 0602 鶴渡る幼き頃の田の広さ 0603 情け無し熱き雑炊も冬の韮 0604 間引き大根ありがとうと椀に入れ 0605 小春日や妻と息子は今目覚め 0606 冬薔薇の新芽竿まで届きけり 0607 山茶花の散りし路なりペダル漕ぐ 0608 冬の朝茶漬けに三菜ひとりかな 0609 冬の雨樹木のみどりのいそがしさ 0610 庭掃きて守宮脅かす新葡萄酒の日 0611 小春日や垣根の薔薇の見苦しさ 0612 ひさかたの短陽照りて十一月 0613 寒村や棚田のひつじ摘みしころ 0614 冬晴れや洗い浚いの煮しめ炊く 0615 冬ながら白子に大根の朝餉かな 0616 道普請見知らぬ顔や今朝の冬 0617 憂鬱な門歯ぐらつき鵯来る 0618 抜けろ抜けろ抜けろ抜けろ門歯冬近し 0619 出がらしをすすりて押入れ冬支度 0620 ななかまどおれおれさぎになくばばよ 0621 牡丹雪薔薇の芽濡らす晦日かな 0622 津波禍に世界の支援急ぐ暮れ 0623 年の瀬や心もこほる津波かな 0624 海割れて地獄をみたり年の暮 0625 髪染めて床屋前かな妻の暮れ 0626 幾歳の聖夜の菓子の食べ初めし 0627 今流か聖夜謳歌の息子かな 0628 鶫来て番で鳴きあう年の暮 0629 皸の指を数えて炊事かな 0630 気を病んで手抜き夕餉の冬至かな 0631 庇護故の教へを学びて冬かなし 0632 鬱かなし眩き泪目ルミナリエ 0633 穏やかな冬の日和や義士祭 0634 胸重き蒼き美空や歳は過ぎ 0635 麗らかな師走の陽射しや髪洗ふ 0636 冬薔薇に学校帰りの輝く瞳 0637 木守柿雀一羽の盗む朝 0638 鬱鬱の情けなきかな漱石忌 0639 葱汁の熱き甘味や歳の暮 0640 カーテンを替えて豊かに冬めきぬ 0641 冬菜切り冷たき朝の澄み渡る 0642 日曜の朝とほりすぎたるふゆあらし 0643 早すぎる大掃除にて疲れたり 0644 二人鍋むかしむかしの子等の席 0645 茶を飲みて眠れぬ冬の朝刊待つ 0646 冬薔薇(そうび)耐えて永らふ十二月 0647 味噌造るけふで1月終いかな 0648 検診の居直るあしたに春見えず 0649 晩冬に熱き煎茶の老ひふたり 0650 冬枯れや見渡す限り只一人 0651 藻川来て川底うつろひ枯野かな 0652 冬深き全集読みて過ぎる日々 0653 春を待つ髪にバンダナ巻いてみる 0654 水仙の一輪挿しとはかなしけれ 0655 結露拭きへのへのもへじの指の跡 0656 大寒の朝にめまいを覚えけり 0657 寒の雨薔薇のなかに溜まりけり 0658 セミリタイア麗句はいらぬ寒の内 0659 荒れし手にメンタム塗りて水仕事 0660 凍み豆腐喰らうに知恵の熱き鍋 0661 小正月工事の音で日が暮れぬ 0662 初孫もはや二歳なり寒の内 0663 恐ろしき御世となりけり初戎 0664 成人の髪に女の色香あり 0665 初場所やかの取り的の芽はいつぞ 0666 小寒や有田の蜜柑届きけり 0667 七草を残り物にて済ませけり 0668 小寒や高き鮪はたれが喰ふ 0669 平凡に軒に降り立つ初雀 0670 教え子のみな大きく見えし去年今年 0671 松の内残る日数を数えをり 0672 正月や天青くして薔薇の藍 0673 元日や洗濯物干す男あり 0674 履歴書の男の道は春霞 0675 雪月花春一番の賑やかさ 0676 寒風に腕を廻してポストまで 0677 一羽二羽藪の雀に春時雨 0678 春一番登校の子等の弾けおり 0679 山茶花に巣くってさわぐすずめかな 0680 ふるさとのやまにむかひて鶯よはらはらと哭け 0681 土鍋きて春の食材我れ一人 0682 恒産無き憂国論聴かぬ妻クエの旅 0683 雨水きて妻の背な押す茶碗坂 0684 梅の枝袂に届くポストまで 0685 後れ毛に蒼き風立つネオンの灯 0686 故郷も鶯飛び交う主夫重ね 0687 バレンタイン義理や不義理の飛び交う夜 0688 娘等の太き会話に春の風邪 0689 如月のだいこ大根で週の末 0690 わたくしは私で良いのよ大根炊く 0691 鈍より春雨しんこかんこの音のせり 0692 かあさんの忌日も忘れ春の酒 0693 春雨も傘も重たき朝の土手 0694 ハウス棟大輪ポピーや月曜日 0695 賞句作妬む技量に春寒し 0696 吾までも目鼻おかしく春立ちぬ 0697 立春や還付金在り腕まくる 0698 凍雪を踏んで柊挿しにけり 高野 素十 0699 黙してる貝になりたや節分か 0700 着膨れて裸薔薇に待つ春を |
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0501 洛外に追はれるごとき僧都かな 0502 いにしえの追はれるごとき僧都の音 0503 洛北の胸に沁みゐる僧都かな 0504 間の抜けた音は昔の僧都かな 0505 大衆的憂鬱見上げる詩仙 0506 秋翳り蒼き畳のメランコリー 0507 人過ぎて下がり松にも秋翳り 0508 武蔵の流せし血のごと薄紅葉 0509 ものいはば叱らるるごと僧都の音 0510 丈山を吟じし友や秋三歳 0511 枯山水紅葉の赤に沁みる胸 0512 林間に酒を温めし紅葉かな 0513 此れよりは師の後離れぬ秋意かな 0514 あらためて知るは重たき京の秋 0515 たたたたと僧都弾ける詩仙堂 0516 漂泊の旅人の名を告げ花芒 0517 てふてふのみゆるを信じて紅葉する 0518 秋蝶の紋をとらえし蒼き風 0519 用水の門を浚へて梅雨に入り 0520 つる薔薇のみな空向きし二番咲き 0521 マシュマロの吐息のごとき彼岸入り 0522 バレンタイン義理のむかひに哀しき灯 0523 春寒や妻の寝汗を拭きおりぬ 0524 雨水かな妻の背な押す茶碗坂 0525 やさしさの眼で追わる浮かれ猫 0526 間引き大根有難うと椀に入れ 0527 くちなしの匂ひ拡がるみずぐるま 0528 犬洗う飯場男の夏期休暇 0529 ふるさとは葉桜透かしその向かふ 0530 十劫の天女の衣や天の川 0531 夏の朝孫の笑顔に狂いけり 0532 不揃いの何時まで咲くや薔薇の朝 0533 掃き出され恨みつらみの守宮かな 0534 夏の夜ミュールの客が気に懸かり 0535 鮮血の唇裂け女やカンナ剪る 0536 台風禍片付け挨拶交換品 0537 蔓珠沙華忌み名を貰いて何故燃ゆる 0538 唐黍もチンで二分の御世と成り 0539 ぶるるると震えて羽織る秋の声 0540 秋風やまさかの完封アテネ発 0541 コスモスやプロペラ放つ幼き手 0542 梅干して一ヶ百円と換算す 0543 つぎつぎと知り合い逝きし今朝の秋 0544 葉月の夜愚息を訪ねし夫婦道 0545 盆の月父母無しやけぶり絶ゆ 0546 秋めくや娘のグラスにバルサミコ 0547 青山や今年も帰らぬ盆の墓 0548 あちこちの新盆近くなりにけり 0549 夏布団干しすぎたるや我の無知 0550 花おくら生意気に糸引く朝餉かな 0551 我も又斯様なる断末魔か蝉時雨 0552 半熟の卵の如き払暁の月 0553 暑中見舞いあれよあれよと時期逃し 0554 台風の銀座といはれて何事ぞ 0555 雨の月のこりいただくパスタかな 0556 熱波の地震の台風の火山灰の秋は行く 0557 テレビにて主宰の桃子秋を詠む 0558 茸飯米の不味さに納得す 0559 ひさかたのともに朝餉の秋彼岸 0560 雑草と言ふ名は無かりし草の花 0561 真夏日の記録更新ひやひやと 0562 東西の激論野球や賢治の忌 0563 零したる赤きワインや獺祭忌 0564 PCを弄って潰し冷まじく 0565 積りたる恨み一蚊や秋の夜 0566 殺生をし尽くし去りたる颱風禍 0567 穀象の逃ぐる古櫃新米足し 0568 我が時世林檎の如く悲しかり 0569 白露前毛布引き寄す朝寝かな 0570 美味なるも腸ほかされし秋刀魚焼く 0571 宿題の重たき鞄二百十日なり 0572 時計草思い出したる今は霜月 0573 落ち鮎もこぞの冷凍残りおり 0574 柚子貰い使い道なく時は過ぎ 0575 秋陰や放屁の数は老いの路 0576 晩秋やバイクの嵐に歯が疼き 0577 秋雨のライオン泣くか動物園 0578 無情なり地べた裂けたる里の秋 0579 馬鈴薯の箱ごと届き出る欠伸 0580 増税のシナリオ隠し秋は行く 0581 茸飯継ぎ足す具にぞ迷いけり 0582 早生蜜柑むきたる指のしびれかな 0583 樋漏れて白糸やうなる台風圏 0584 金木犀雨に撃たれてまた歯痛 0585 双子なり母娘で奈良街秋行楽 0586 桜山の湯入れて気分は黄落地 0587 朝寒や鼻水たれて重き脚 0588 赤い羽根子等の大声たくましく 0589 おいらにはおいらの道さ銀杏の実 0590 秋晴れやよちよち孫の帰京かな 0591 柿熟しわが身も溶ける青い空 0592 秋風や妻に病の兆しあり 0593 人気無きパンダ舎前は暴れ風 0594 双子なり双子の母娘菊日和 0595 肌寒やいがらき喉にとける蜜 0596 秋時雨合羽の袖の一滴 0597 団栗をじゃらじゃら零しまた走る 0598 秋の夜は流るる雲と茶をすすり 0599 イチローの記録に祝福運動会 0600 十月の透きとほる風や髪を切る |
0701 花冷えやクライドフォーユー愛は無重力 0702 朽ち木株菫住み着き光り弾けり 0703 春風やミントの接吻二重奏 0704 濡れ烏抱いてやりたや春霙 0705 切干に染み込ませたり春の人 0706 春寒や優しくなってキスをする 0707 甘夏のカプセル弾く桜東風 0708 甘夏や琥珀の石の耳飾 0709 センバツや屁垂れの履歴苦き雨 0710 夜なべして瞼も重き春の雨 0711 サリン禍の悪魔が堕ちる春彼岸 0712 なによりも 蒲団の軽ろき 彼岸入り 0713 みずたまりさかさにつぼみゆれうごき 0714 じくじくと淋しき雨や彼岸入 0715 煩悩にのたうちまわる彼岸入り 0716 選抜の声を聞くなりお水取り 0717 風きつく春とは名のみ午後のお茶 0718 春の日にぼたんの雪の初日かな 0719 春寒しガウンのままのなまくらさ 0720 水平の思考に泣きし春の暮 0721 春の風下着替えたる散歩かな 0722 春暁や肩の痛さに目覚めけり 0723 キャンバスは紅一点春の土手 0724 光る川土手駆け上がり振り返る 0725 春寒や濃ゆき豆茶の昼下がり 0726 袖に来て遊び消ゆるや春の雪 高浜 虚子 0727 春雨や小磯の小貝ぬるるほど 蕪村 0728 哀調を帯て嬉しく紙の雛 0729 なむとなく空も広かり嗚呼弥生 0730 なむとなく空も広けり嗚呼弥生 0731 榎若葉連休静かに過ぎてゆく 0732 壱拾連休薔薇の若葉に風そよぐ 0733 薫風に背なを押されて虹を掘る 0734 大仏のごと太き鼻たれ菖蒲の湯 0735 生垣のまだ不揃いなる躑躅かな 0736 脱線の一報続々夏迫る 0737 韻律の良さも解らず穀雨過ぎ 0738 清記書に時を忘るる春の宵 0739 昨日より親に近付く榎若葉 0740 沈みゆく吾に優しき花水木 0741 ふるさとは葉桜透かしその向かふ 0742 立居振舞連れと学びし花筏 0743 行く春やジオラマラックに反日論 0744 逝く春や選句残せし遣らず雨 0745 断酒断煙葉櫻の如く爽やかに 0746 薔薇の芽の紅き雫の甘露かな 0747 浮橋となりて静かに終の花 0748 離任式蘂も端こに溜まりおり 0749 櫻蘂落として雀の一羽二羽 0750 果敢なさも笑い飛ばして櫻蘂 0751 押花の壱歳寝たる山桜 0752 枳殻や碧の髪の母の影 0753 風が這う愛しき花の乱れけり 0754 用水路蘂を落として雨の鳥 0755 清明や赤子の眼差し恥ずかしく 0756 雪柳百葉双を埋め尽くし 0757 百葉双埋もれて寂しく雪柳 0758 雪柳眠りたおやか百葉双 0759 道に沿うデジタル欄干リラの花 0760 橋梁の月を離れぬ冬の星 0761 畦道の月を離れぬ冬の星 0762 随道の月を離れぬ冬の星 0763 姨捨の月を離れぬ冬の星 0764 村の路月を離れぬ冬の星 0765 みささぎの月を離れぬ冬の星 0766 紫尾の嶺や月を離れぬ冬の星 0767 井戸端に月を離れぬ冬の星 0768 お浄土や月を離れぬ冬の星 0769 人恋し月を離れぬ冬の星 0770 初恋の月を離れぬ冬の星 0771 深夜便月を離れぬ冬の星 0772 遠吠えや月を離れぬ冬の星 0773 みんな好き月を離れぬ冬の星 0774 凍てし月蒼き心の薄かりし 0775 凍てし月凛と構えて朝の路 0776 花八ツ手捲くりし腕に塵袋 0777 『真っ赤だな!』流るゝ窓に櫨紅葉 0778 胞子飛び何処へ旅ぞ茸山 0779 軍手の白時雨に映えるアーク灯 0780 道沿いのデジタル欄干リラの花 0781 枳殻の母さん碧の花匂ふ 0782 からたちのかあさん単衣花匂ふ 0783 欄干やデジタル思考の春絵巻 0784 春や川底ひそりひそりと歩きをる 0785 飴溢し損得得損春の朝 0786 薔薇の芽や弾ける収穫青菜かな 0787 行く春やけふのコロッケ一工夫 0788 行く春や格差七割乞食は見えず餓死もせず 0789 春休み足跡無くてけぶる庭 0790 サクラ待つ無人の校庭硬き門 0791 おろか村去年の退職四月馬鹿 0792 無き郷の謄本取りし夏の雲 0793 羽尺地を仕立てし娘浮葉かな 0794 この週も小遣い無しの冷蔵庫 0795 句作とはミロダリキリコ雲の峰 0796 恐ろしき胸の谷間のアッパッパ 0797 湯上りの谷間染まれり梅酒かな 0798 菖蒲の葉乳首擦りて湯を撥ねり 0799 花瓢夕餉の匂ひ拡がりて 0800 泣きじゃくり梔子の香や母の胸 |